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なぜ、所得を10種類に分けるのか

2020年1月21日「火曜日」更新の日記

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所得税の税金の計算の仕方は累進課税といって、所得が大きくなれば、適用される税率も高くなる。その結果、所得の大きい人からは多くの税金をとり、所得の小さい人からは少なくとる。また、所得の大きい年には多くの税金を払わねばならないが、所得の小さい年には少しの税金ですむ。税負担能力に応じて課税し、実質的な公平が保たれる。なかなか、うまい方法である。しかし、そうとばかりいっておられないケースもある。たとえば退職所得である。年間給料800万円の人が退職して、退職金を2,000万円もらって、その人の所得控除が200万円だったとする。給料800万円の所得税は約47万円である。退職金も給料と同じだとして、合算してかりに計算すると、約598万円の税額になる。退職金の分は598万円~47万円=551万円となる。給料だけのときの税額が給料の約6%で、退職金は約28%となり、なんとなくおかしい感じがする。給料というのは毎年もらうものだから、少々税金をとられても、また来年も給料をもらえるからということがある。しかし、退職金は普通の人ならば一生に一度しかもらえない。それに、退職金をもらう場合は、翌年から給料が入らないのが普通である。他に勤めて給料をもらえるようになったとしても、その収入はガクッと下がることが多い。そう考えると、むしろ退職金の目減りを少なくしてやりたいというのが、国民感情にそうであろう。それに退職金というのは、給料の後払い的な性格をもっている。退職金を勤めていた全期間に分割して、給料に加算してもらっていたら、それで増えた税額の合計は、はるかに低くなっているはずである。全所得を総合して累進税率で課税することの矛盾が、ここでは生じてくることになる。

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