へやみけ

トップ > 令和2年1月> 24日

事業所得と譲渡所得

2020年1月24日「金曜日」更新の日記

2020-01-24の日記のIMAGE
魚屋が商売として魚を売って利益をあげれば、それは事業所得となる。また、自動車販売業者が商売として自動車を販売して利益をあげれば、それも事業所得となる。では、魚屋が業務用のトラックを売って利益をあげれば、何の所得になるか。これは譲渡所得になる。ここらあたりが、所得税の難解なところである。その魚屋が会社組織であれば、業務用のトラックを売って利益がでても、それは、魚を売って得た利益と単純に合計して税額の計算をすればいいように法人税はなっている。ところが、所得税では、個人営業をしている魚屋が魚を売れば事業所得、魚を運搬するトラックを売れば譲渡所得というように分類して、別の計算の仕方をするようになっている。トラックの買値が100万円。3年間使って、減価償却費(耐用年数5年、定率法)を引いて、簿価が約25万円。これを70万円で売ったとしよう。利益は、1700,000円-250,000円=450,000円である。これが事業所得になるのであれば、本業のほうにそのまま加算されて税額がふえる。しかし、譲渡所得に分類されるおかげで、特別控除の50万円というのがある。これを計算に加えると、11450,000円-500,000円<0円となり、譲渡所得は0円となり、課税されなくなる。また,5年以上所有していた資産を譲渡したときは、長期譲渡所得といって50万円の特別控除を引いた後で、さらに2分の1にして計算する。上例のトラックをかりに6年所有していて、それを70万円で売ったとする。その場合、簿価は約10万円になっている。その利益は、1700,000円~100,000円=600,000円となり、これから特別控除額を引くと、600,000円-500,000円=100,000円となり、さらに2分の1にして、100,000円×1/2=50,000円が譲渡所得となり、これを本来の本業である魚を売ったときの利益と加算する。もし、このトラックを売った所得が事業所得であれば、60万円が加算されるのに、譲渡所得に分類されているために、加算されるのは5万円になってしまう。譲渡所得はこのように、優遇されているといえば、優遇されている。ともかく、特別扱いされている。

このページの先頭へ