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取得費の不明な場合と譲渡費用の範囲

2020年1月28日「火曜日」更新の日記

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土地を買ったり、建物を建築して20年から30年も経過すると、土地を買ったときの代金や、建物建築の工事費についての記憶もおぼろげになっているし、たとえその取得費を想い出せたとしても、その取得費を証明する領収書などは、大事にしまいすぎて見つからなかったり、あまり気にしていなくて散逸してしまっていたりすることが多い。それで、長期譲渡の場合には、譲渡収入(売却代金)の5%を取得費として計算すれば、その計算を認めるということになっている(措法31条の4、措所通31の4-1)。取得費がわかっている場合も、実際の取得費がこの5%より低ければ、この5%を使って計算し、実際の取得費が5%より高ければ実額を使えばよい。いったん売買契約をした後に、さらに有利な条件で買いたいという相手があらわれ、違約金を支払って既契約を解除した場合などの違約金なども、譲渡費用に含まれる。また、弁護士に売買の交渉を依頼したような場合の弁護士報酬は、仲介手数料と同様な性格のものであり、譲渡費用になるが、譲渡資産について第三者との権利の紛争解決などのために依頼したときの弁護士報酬などは、譲渡のために直接要した費用でないので譲渡費用に該当しない。税理士に譲渡所得の申告を依頼した場合の税理士報酬は、譲渡のための費用でないので譲渡費用とはならない。しかし、売買に先立って税務に関する相談をし、これを参考として売買することを決定したという場合の相談料は譲渡費用に該当する。もっとも、実務的には、申告の報酬と相談料の区別が曖昧になりがちなので、相談料は相談をしたときに支払うなどしておくほうがよいであろう。

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