へやみけ

トップ > 令和2年1月> 29日

所有権の移転と登記

2020年1月29日「水曜日」更新の日記

2020-01-29の日記のIMAGE
土地・建物の税務上の譲渡の日・取得の日は、通達では、引渡しの日を原則とし、売買契約の効力発生の日を納税者が選択すればそれも認めるという取扱いになっている。しかし、判例では所有権移転の日という解釈が定着している(最高裁・昭40.9.24判決)。したがって、土地・建物の譲渡所得課税をめぐって裁判になったときは、この所有権移転の日を基準として裁かれることになる。ところで、所有権移転の日と所有権移転登記の日とは違うことは、これまで何度か説明してきた。日本の民法では、「では、所有権を移転しましょう」という売手の意思と、「はい、確かに所有権を受け取りましょう」という買手の意思が一致すれば、その瞬間に所有権は売手から買手へ移転することになる。その日が税務上でも譲渡・取得の日になるということである。もっとも、こういうことで所有権が移転したということは、外部の第三者にはわからない。それで、不動産については登記所に登記簿を備えつけ、これを公示し、これを閲覧すれば、その不動産が誰の所有であるかを一目瞭然にわかるようにしている。したがって、売手と買手とが登記所に所有権移転登記を申請して、登記簿の所有名義を書き替えてもらわなければ、買手は自分の所有権を第三者には主張(対抗)できない。しかし、登記をしなくても、売手と買手との間では所有権が移転していることは事実である。この登記制度を、もっと徹底させているのがドイツやスイスなどの制度である。これらの国では、所有権移転についての売手と買手の意思の合致だけでは所有権は移転せず、登記されてから始めて移転するという法制をとっている。なお、日本の民法では、いつ所有権を移転させるのかについての売主・買主の意思が曖昧なときは、売買契約の効力発生の日に移転したものとされている。

このページの先頭へ