事業用資産の買い換え特例を利用
2020年2月19日「水曜日」更新の日記
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- "貸し地の底地権を売却、同族会社を設立してビルを取得
【状況】
D氏の家系は地元の大地主で、D氏自身も二〇億円の資産を持っているが、その多くが分散した貸し地になっている。しかも、地代だけでは収益性が悪いため、収益性が高い不動産への
組み換えを考えていた。【対策】
私たちはD氏に、次のような提案をしました。
(1)事業用資産の買い換え特例を利用し、底地権を売却して東京都心の賃貸用ビルの土地を取得
する。(2)同族会社を設立して、会社が金融機関から融資を受けてビル(建物)を取得する。(3)同族会社とD氏との間で「土地賃貸借契約」を結び、税務署に「無償返還に関する届出書」
を提出する。
これらの提案は、
(1)不良資産ともいえる貸し地を整理するだけでなく、優良資産に組み換えることができる。
(2)事業用資産の買い換え特例によって、底地を売却したことによる譲渡益の八〇パーセントが繰り延べ
になり、譲渡益課税が軽減される。
(3)新たに取得した都心ビルの土地は、税務署に「無償返還に関する届出書」を提出することに
よって、土地の相続税評価額が二〇パーセント減になる。
(4)D氏は同族会社から固定資産税の二~三倍の地代が受け取れる。同時に資産の分散が図れるので、相続税対策になる。(5)同族会社はビルの家賃収入から利益を積み立て、相続発生時にビルの土地を買い取ることで、相続税対策になる。
といった目的があります。
手順としては、D氏は一億七〇〇〇万円の融資を受けて、ビルの土地部分を購入し、自分が
設立した同族会社が七〇〇〇万円の融資を受けて、ビルの建物部分を取得します。その後、D氏は貸し地の底地権を売却して得た一億七〇〇〇万円の中から融資を返済しました。
【効果】
(1)事業用資産の買い換え特例を利用することで譲渡益に対する課税は八四〇万円で済みました。
(2)相続税は五三〇〇万円軽減できました。
(3)D氏はビルの地代として同族会社から年間六〇〇万円を受け取り、ほかの収入との合算で確定申告をした結果、所得税と住民税の課税率が五〇パーセントなので、ネットで三〇〇万円が手元に残ります。
(4)同族会社は家賃収入から経費を差し引いても、年間一〇〇〇万円が内部留保できる見通しが立ちました。
(5)一〇年後には、同族法人に一億円、D氏に三〇〇〇万円の現金が残り、将来の相続稅資金に充当することができます。"
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