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袋路の所有者は二メートルの通路を要求できるか

2020年3月23日「月曜日」更新の日記

2020-03-23の日記のIMAGE
Q民法二一〇条には、の囲総地通行権が規定されていて、袋地の所有者は、公道に通ずる道路がないときは、「公道に至る為め、囲綴地を通行すること」がてきることになっています
この場合の袋地通路は、建築基準法四三条一項のいわゆる二メートルなければいけないものてしようか
▼否定した判例の根拠は袋地所有者の囲総地通行権を規定した民法二一○条によると、ある土地が、他人の所有地に囲まれて、公路に通じないときは、袋地の所有者は公路にいたるため、囲縫地を通行することができることになっています
ところが、一方、建築基準法四三条一項には、「建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない
ただし、建築物の周囲に広い空地があり、その他これと同様の状況にある場合で、安全上支障がないときは、この限りでない」と規定してあります
そこで、この袋地の通路についても、二メートルなければならないのかという疑問が出ますし、そして裁判沙汰などになっています
ご質問の回答として、その実例を紹介しましょう
静岡地裁、東京高裁で争われたものです(昭和五二・六・一三判決)
事件の土地は、もと一筆の土地で公道に面していたところ、甲地と乙地に分筆されて、その結果、甲地は袋地となり、乙地上に幅員○・九メートルの通路が設けられ、甲地には原告(被控訴人)のAが、そして乙地には被告(控訴人)のBが家屋を所有していたものです
ところが、Aは「甲地は袋地であるから乙地上に囲縫地通行権を有するが、建築基準法四三条一項により、建築物の敷地は、二メートル以上道路に接しなければならないとされているから、右通行権にもとづく道路の幅員は、少なくとも二メートルであらねばならない」として、その通行権の範囲の拡幅を求めたものです
静岡地裁は、Aの主張を認めて、原告勝訴の判決を与えたので、Bがこれに不服をとなえて東京高裁に控訴し、そして高裁は、逆にBを勝訴させ、そして原告(被控訴人)の請求を棄却したのです
その理由は、「建築基準法の規定は、公益上の行政目的から定められたものであって、囲続地通行権の決定に、直接制約を及ぼすものではないと解すべきである
そうとすれば、特段の事情も認められない本件にあっては、Aが乙地に対して有する囲続地通行権の範囲は、建築基準法の制約によって決定されるべきではなく、Aとその家族の日常生活に支障を生じない程度をもって、必要かつ十分と認められる限度として決定するのが相当である」というのです
この理論づけには民法二二条の規定を参酌する必要があって、同条には、囲繍地通行権の「通行の場所及び方法は、通行権を有する者の為めに必要にして、且囲続地の為めに損害最も少きものを選ぶことを要す」とあるのです
そこで、Aとその家族は日常生活に支障のない程度の範囲でがまんすべきだとしたのです

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