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住み心地にこだわりつづける不安の姿勢(1)

2020年6月6日「土曜日」更新の日記

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住宅性能表示基準制度の施行によって、住宅メーカーによっては各社独自で研修会などを実施しているところもある。事実、大手・中小住宅メーカー、建材メーカーなどを含める住宅業界では「質」の向上に大きな努力を払っているようだが、質の向上がコストアップにつながるようでは、購入者にそっぽを向かれるおそれもある。どの性能を高度化し、それをどう購入者にアピールしていくか、業界にとってこれが頭痛の種のようである。また、スピードが要求されるマンション事業にはなじみにくい制度だ、という意見も案外多い。評価にどれだけの時間がかかるのか、また提出する資料はどれだけ必要なのか、それにともなう費用は、などの疑問も出ている。また決算計上、住宅ローン減税のための完成引き渡しの期限のこともある。「他社との違いを明確にできるという点ではいいことだと思っていますが、ただこの法律自身があくまで官主導の立場からでてきた法律だということで、ISO(国際標準機構。日本工業標準調査会が加入している国際的な単位)的な扱いになるような気がします。性能表示制度という制度があればあるでいいとは思いますが、基本的には自社がしっかりやっていけばいいので、単に組織化されたという感じもします」福井は性能表示制度そのものは肯定しながら、そんな疑問をのぞかせる。はたして第三者機関という半官半民の組織に、どれだけ公正な審査が可能なのか、新し制度のなかで、かつての建設業界の汚点であった贈賄、利権のようなものがからむことはないのか、われわれ一般国民としても気になる部分だ。高い評価を得るためにはコストは上がるし、性能表示を受けて評価が低ければ商品とし叫て欠陥があるのではという疑問となる。また性能表示を導入して販売契約をした場合、完成したときに明示された評価に不足があるという理由で、解約や損害賠償問題が多発しかねないなどの不安の声も上がっているようだ。・マンションの場合は見込み生産、大量生産である。一戸建ての場合などは性能表示を適用するかどうか、事前に施主と販売受注業者が話し合って決めるので話は早いが、マンションの場合、そうはいかないということで、マンション業界の一部では、目下、慎重な姿勢をとっているところが多い。・マンション業界全体が慎重姿勢をとっているなかで、建設省基準の性能表示制度の導入を決定したのは、業界の最大手・大京だけだ。住宅品質確保促進法にもとづいて建設省では、平成十二年十月三日、指定住宅性能評価機関として、全国に六四機関を指定した(平成十二年十一月一日現在で六八機関)。同省では住宅性能表示制度発足にあたって、かなり早い段階から年間四〇~五〇万戸の利用があるのではないかと予測している。その根拠は、同様の制度をもつフランスでの利用率が四割から五割となっていること、日本においては競争原理から、一社が導入すれば他社も追随する傾向が強いということ、そして中小工務店も利用しやすいように全国の建築住宅センターを性能評価機関に指定することができたということなどである。平成十二年十月六日付の住宅新報によると、こうした状況下、マンションだけを対象とした性能評価会社が設立されたという。

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