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「マンション管理士」創設で管理体制が充実(1)

2020年6月8日「月曜日」更新の日記

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一九六〇年代から本格的な供給がはじまった分譲マンションは現在、全国で三七〇万戸にのぼるといわれている。しかし、このうち約三万三〇〇〇戸のマンションが、築三十年を経過しており、なかには外壁の亀裂やはがれ、給排水管の故障など、共用部分のさまざまな問題が噴出している例もみられ、社会問題化している。築三十年のマンションの老朽化というと、首を傾げる向きもあるかもしれない。現代にあって三十年で老朽化するマンションというのはめったにない。ほとんどのマンションが五、六十年を目安にしており、百年住宅構想などが打ち上げられているのが現状だからだ。しかし、いまから三十年前といえば、思い当たることがある。これらのマンションはいわゆる「いざなぎ景気」のあたりに建てられた物件なのだ。「マンションはいったい、何年くらいもつかという質問は多いのですが、いまのマンションはメンテナンスしだいで相当永持ちします。昭和三十一年に四谷コーポレスというマンションができたのですが、今年で築四十四年を迎えて現存しています。マンションで大事なのは買った時期なんです。景気の悪い時に買ったものは値崩れしない。もっともこれは一般論ですから、全部が全部そうとはいえませんが、景気が悪くて売れないから、業者はいい物件をつくって売ろうとする。だからバブル後の不景気な時期に建ったものはしっかりしています。バブルのあと、長い不況が続きましたね。いまもさして景気がいいわけじゃない。その点でみれば、いまは買い時ということです」野中がこんなことをいっていたのをふと思い出した。いざなぎ景気のころは、住宅も不て足していた。建てれば売れた時代である。野中の意見はこの道のプロとして的を射たものといえるだろう。・さて、マンションの老朽化について語るうえではその管理体制が密接にかかわっている。どんなにいいマンションであっても、管理状況の善し悪しによって耐用年数に大きな影響を与えることはご承知の通りである。本来、マンションの維持・管理は住人が管理組合を組織し、修理費などを積み立て、共有部分の管理・補修などを定期的に行っている。ところが補修を行う場合、複数の区分所有者の意思を集約する必要がある。したがって、多額な負担を強いられる大規模な修繕には、住人の賛同がなかなか得られず、難航する場合もあり、これが老朽化を進める原因にもなっているという。分譲マンションが戸建てとちがうところは、敷地や建物を区分所有していることである。敷地は区分所有全員の共有であるが、建物は専有部分と共有部分に分かれており、専有部分は天井と壁に仕切られた居住空間、共有部分はエントランスホール、廊下、エレベーター、階段、外壁、屋上などである。この共有部分を管理するのが管理組合で、購入者のすべては管理組合の組合員ということになる。そのなかから役員を選出して、日常的な維持管理を任せるというのが分譲マンションの一般的なスタイルである。分譲マンションの管理には、管理組合による自主管理、管理組合を一部サポートする一部委託管理、一括委託管理の三種類がある。自主管理はすべての業務を区分所有者が行うもので、管理費は安くすむが、役員の負担が重くなる。一部委託管理は業務の一部分だけを管理会社に委託する方法、一括委託管理は管理にかかわる業務の一切を管理会社に委託するというものである。管理の業務は共有部分の維持管理、清掃・修繕や保険などに関する業務、管理費の徴収や修繕費の積立、官公庁、警察署や町内会などとの交渉、風紀、安全維持に関する業務などがあるが、どこまでを管理会社に任せるかは、管理業務委託契約書に記載されているので、このあたりはしっかり確認しておいたほうがいいだろう。というのは、最近、管理組合と管理業者の関係が悪化し、トラブルとなるケースが多発しているからである。

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