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プール未建設を理由にマンションの売買契約を解除できる

2020年7月1日「水曜日」更新の日記

2020-07-01の日記のIMAGE
そこで最後に3の点が問題となります。本来、同一の当事者間において、同一の機会に契約が結ばれたとしても、それが別々の契約であれば、一方の契約の不履行があったとしても、もう一方の契約を解除することはできません。設例のマンションの売買契約とスポーツクラブの会員権契約をみると、契約自体は別形式です。スポーツクラブの施設(プール)が共用部分ではなく、売主の単独所有であることを前提としますと、会員権契約の売主の不履行があったからといってマンションの売買契約の解除まで認めるのは行き過ぎのようにも思えます。しかし、一般の居住用マンションと違い、プール等のスポーツ施設を利用することを主たる目的としたリゾートマンションですから、買主も、当然そのような目的をもって購入しています。プールが利用できなければマンションを購入した目的を達することができないのです。それならばマンションの売買契約自体を解除できることになります。本設例とほぼ同様の事案で、近時、最高裁は要旨次のように判示して、マンションの売買契約の解除を認めました。
裁判例
「同一当事者間でいわゆるリゾートマンションの区分所有権の売買契約と同時にスポーツクラブ会員権契約が締結された場合において、区分所有権の得喪と会員たる地位の得喪とが密接に関連づけられている事実関係の許においては、屋内プールの完成の遅延という会員権契約の要素たる債務の履行遅滞を理由として、区分所有権の買主は、民法541条により右売買契約を解除することができる。」(最高裁・平成8年11月12日判決)

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