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シルバーマンションの眼目は継続的なサービス提供(2)

2020年7月3日「金曜日」更新の日記

2020-07-03の日記のIMAGE
入所契約には非常に高額な前払い金が必要であり、それが居住者の全財産であることが多いこともあって、入所後の契約トラブルは極めて重大な問題となりがちです。先に述べたとおり、老人の集まりである入居者側と管理会社の側とでは力の差がありますから、対等な契約当事者であることを前提に両者間を規律することは難しいのです。分譲型のシルバーマンション特有の法律問題としては、以下のような点があげられます。分譲型シルバーマンションでは、区分所有権の売買とサービスの提供が切り離しがたく一体となって契約の目的となっています。それでは、入居者が第三者に区分所有権のみを譲渡した場合はサービスの提供関係はどうなるのか。また、共有部分その他の管理は、区分所有法の原則によれば区分所有者の団体が行うものでしょうが、老人を構成員とする団体の自治にすべてを任せきりにしてはおけないのは、すでに述べたとおりです。この辺についても既存の法律との関係でどう考えるべきなのか。また、入居者の著しい迷惑行為によって他の入居者の利益が著しく害された場合などには、施設の運営者は、サービスの提供行為自体を打ち切ることができる(解消による清算等の問題は残る)ことになると思いますが、区分所有関係についてどう処理すべきか、の問題が生じます(区分所有法57条以下に規定する共同利益に反する行為の停止請求や競売請求が可能なのか)。また、事実上の問題として居住者の意思能力に疑問の生ずることが多いでしょうから、その点から各種の問題(集会の成立や有効性など)がしばしば生ずるものと思われます。なお丸山英気・前田敬子「検証有料老人ホーム」や、その引用にかかる文献を参照して下さい。

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