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共同住宅の歴史的経緯等

2020年7月13日「月曜日」更新の日記

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昭和30年前後に供給が始まったマンションは、昭和40年代に入ると、一般の所得者層を対象とした大衆型マンションが主流を占め、特に昭和40年代後半は供給が急激に拡大された。この時期の管理の状況をみると、マンションストックの急激な増加に合わせて、分譲会社系列の管理会社が出現するとともに、各マンションにおいても区分所有者の任意の管理組織である管理組合も設立され、管理組合と管理会社が管理委託契約を取り交わして管理業務を実施するという今日のマンション管理の原型が形作られたと言える。この頃の管理会社の業務は、諸設備の保守点検を主としたハード面が主体だった。昭和50年代に入ると、マンションは都市型住宅として定着していくことになるが、近隣との日照紛争や欠陥マンションをめぐるトラブルの他に、居住者間の生活ルールに関するトラブルも生じ始めた。マンション管理の問題に対応していくのは「区分所有法」ということだったのだが、マンションの普及という現実に対応できなくなりはじめたことから、昭和58年、管理組合による管理の明確化、多数決原理の集会による組合運営の円滑化等を目的として、区分所有法が改正された。また、建投省の住宅宅地審議会(当時)は、昭和57年に管理規約等の明確化・合理化を図るため、規約等を定める場合の指針として「中高層共同住宅標準管理規約」、「中高層共同住宅標準管理委託契約書」を答申し、建設省は規約や契約の不備によるトラブルを防止するためにこれらの活用を推進した。その後、高度経済成長や景気対策等によるマンションブームの山がいくつか形成され、最近では住宅減税などの税制面、住宅金融公庫の融資制度の変更や値頃感などが需要を掘り起こし、新たなブームを形成した。
マンションは現在では住宅様式の一つとして定着し、特に都市部の新規供給のほとんどはマンションであると言える。住まい方からは、一昔前まで「マンションは仮の住まい」という意識が強く、戸建志向が依然として根強くあったが、最近ではマンション生まれの世代も増え、マンション購入のリピーターや、終のすみかとして選択する者も増えてきている。
しかしながらマンション管理に関しては、管理の主体となるはずの管理組合が必ずしも十分に機能しておらず、場合によっては、管理組合が存在しないもの、あるいは主体性そのものが失われ、まったく形骸化しているものもあり、適なマンション管理の模索期にあるというのが現状であると言える。

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